【院経営の新常識】患者と院の距離感は問診表とカルテで決まる

矢野 敦子の写真 矢野 敦子
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【院経営の新常識】患者と院の距離感は問診表とカルテで決まる

先生方の院では、初診の患者様に書いていただく「問診票」をどのように扱っているでしょうか。

「施術前に身体の状態を把握するための事務書類」
「カルテを作成するための基礎データ」

もし、そのように「単なる事務作業」として捉えているとしたら、実は経営において非常に大きな機会損失をしているかもしれません。

今、地域で長く愛され、繁盛している整骨院・鍼灸院の間で、問診票の役割が劇的に変化しています。
それは、「情報を保管する書類」から「信頼関係を構築する最初のマーケティングツール」への進化です。

多くの先生方が「確かな技術があれば患者様はついてくる」と考えがちです。
もちろん技術は不可欠ですが、患者様がリピートするかどうかを決定づけるのは、施術の腕前だけではありません。

予約から来院、施術、そしてお帰りになるまでの「院にいる間の体験すべて(患者体験=PX)」によって決まります。

そして、その体験の質を左右し、他院との差別化を決定づける最初の一歩こそが、実は「問診票」なのです。

今回は、単なるペーパーレス化や効率化にとどまらない、「集客とリピートに直結する電子問診票の活用術」について、これからの院経営のスタンダードとなる視点をお伝えします。

目次

理由①|「来院前の5分」が、当日の信頼度を決定づける

― 「話を聞いてくれる先生」という印象は、会う前から作れる ―

従来の紙の問診票運用を思い出してみてください。
患者様は来院してから受付でバインダーを渡され、待合室の椅子で急いで記入します。

「痛いのはここだけど、うまく言葉にできない」
「既往歴っていつのことまで書けばいいんだろう」

そう迷いながらも、予約時間が迫っているため、走り書きで提出するケース
も少なくありません。
このスタイルには、経営上の「見えないデメリット」が潜んでいます。

患者様は焦って本当に伝えたい悩みを書き漏らし、受付スタッフは手書き文字の解読に時間を取られ、施術者は記入内容に目を通す時間が施術直前の数秒しかない――。

これでは、施術がスタートした時点で「ゼロからの情報収集」になってしまいます。

一方、電子問診票(WEB問診)を導入している院では、この景色が全く異なります。

予約完了と同時に患者様のスマートフォンへ問診フォームが送られるため、患者様は自宅や移動中のリラックスした状態で、自分の症状や「こうなりたい」という希望をじっくり入力できます

そして何より重要なのが、「先生が事前に情報を読んでくれている」という安心感です。
患者様が来院された瞬間をイメージしてみてください。

「今日はどうされましたか?」と一から聞くのと、
「〇〇さん、こんにちは。昨日の朝から腰に違和感があるとのこと、お辛かったですね。以前の捻挫の影響も気になりますので、詳しく診ていきましょう」

と迎えるのとでは、患者様が抱く信頼感に天と地ほどの差が生まれます。

前者は「一般的な患者さん」としての扱いですが、後者は「私のことを理解してくれている先生」という認識になります。

電子問診票による事前の情報収集は、業務効率化である以上に、「あなたを大切に思っています」というメッセージを伝える、最初で最高のおもてなしになるのです

理由②|データは“保管”するためではなく“提案”するためにある

― 「埋もれた情報」を掘り起こし、LTV(生涯顧客価値)を高める ―

もちろん紙のカルテであっても、患者様が来院されるたびに棚から出して手元に用意されているはずです。

しかし、通院期間が長くなればなるほど、カルテは分厚くなっていきます。

忙しい施術の合間に、分厚くなったファイルの中から「初診時に書かれた悩み」や「半年前の会話メモ」を瞬時に見つけ出すことはできるでしょうか?

現実には、直近の施術記録(SOAP)を確認するのが精一杯で、過去の重要な情報がページの中に埋もれてしまっているケースが少なくありません。

問診票やカルテには、「今回の痛み」以外にも、院の経営を支える重要なヒントがたくさん隠されています

  • 過去の怪我や手術歴(古傷)
  • 仕事の内容(デスクワークか、立ち仕事か)
  • 「将来こうなりたい」という理想の身体の状態

電子問診票や電子カルテでこれらを管理する最大のメリットは、情報が埋もれないことです。

「重要タグ」や「ゴール設定」としてトップ画面に表示させておけば、何年通っていても、施術記録が何ページ増えても、その情報は常に施術者の目に留まります。

これが、「提案型の施術」への扉を開きます。

例えば、今は腰痛で通院中の患者様に対して、画面の端に表示された情報をもとに、次のような会話が可能になります。

「そういえば、最初の問診で『趣味のランニングを再開したい』と書かれていましたよね。腰の痛みが落ち着いてきたので、次は足首のバランス調整をして、走っても痛まない身体づくりにシフトしませんか?」

患者様自身も忘れていたような目標をプロの視点で拾い上げ、解決策を提示する

これこそが、単発の治療(Cure)で終わらせず、「健康のパートナー(Care)」として長く通い続けてもらうための鍵(LTV向上)です。

紙カルテのように「情報をめくって探す」のではなく、「必要な情報が向こうから目に飛び込んでくる」環境を作る

それが、誰が担当しても質の高い提案を可能にし、未来の予約につなげるポイントです。

理由③|カルテは“先生のメモ”ではなく“患者様との共有画面”になる

― 「変化の可視化」が、通い続ける納得感を生む ―

「患者様になかなか通院の必要性を理解してもらえない」
「良くなっているはずなのに、途中で離脱されてしまう」

そんな悩みをお持ちではないでしょうか。

その原因の一つは、患者様自身の「主観」だけに頼った振り返りをしてしまっていることにあります。

「なんとなく良くなった気がする」「まだ痛い気がする」といった曖昧な感覚だけでは、継続するモチベーションは維持できません。

ここで大きな差を生むのが、電子カルテやタブレットの活用です

紙のカルテは、汚れた文字や専門用語で書かれていることも多く、患者様に見せるためのものではありませんでした。
いわば「先生だけの秘伝のメモ」です。

しかし、タブレット型の電子カルテなら、「患者様と一緒に画面を見る」ことができます

「初回の問診では痛みのレベルが『10』でしたが、今日は『4』まで下がっていますね」
「先月と比べて、これだけ姿勢が変わりましたよ」
「以前おっしゃっていた『この動作』ができるようになっていますね」

このように、過去の記録や問診データを画面で見せながら説明することで、患者様は自分の身体の変化を「客観的な事実」として認識できます。

「先生が言うならそうなんだろう」ではなく、「本当だ、変わっている!」という納得感。
この納得感こそが、「次もまた来よう」という強力な動機付けになります。

情報を先生の手元だけに隠さず、オープンにして共有する。

電子カルテを「記録ツール」から「プレゼンテーションツール」に変えることで、患者様は安心して治療計画についてきてくれるようになります

さいごに|DXは「効率化」ではなく「おもてなし」である

ここまで、電子問診票がもたらすメリットについてお伝えしてきました。

「うちは規模が小さいから、DXなんて大げさなことは必要ない」
「デジタルの冷たい感じが、院の温かい雰囲気に合わないのではないか」

そう感じている先生もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ここまで読み進めていただいた先生なら、もうお気づきではないでしょうか。

真のDXとは、機械に任せられる作業を自動化し、そこで生まれた時間と余裕を「人と人との温かいコミュニケーション」に充てることです

  • 手書き文字を解読する時間を、患者様の目を見て話す時間に変える。
  • カルテを探す時間を、患者様の身体の不調の原因を深く考える時間に変える。
  • 説明に迷う時間を、画面を見せて共有する時間に変える。

これからの時代、選ばれ続ける整骨院・鍼灸院になるために必要なのは、単に最新の機器を並べることではありません。

デジタルの力を賢く借りて、「患者様と向き合う時間」を最大化することです

もし、今の院運営で「事務作業に追われて患者様とゆっくり話せていない」「もっと一人ひとりの身体の状態に寄り添いたい」と感じているなら、まずは問診票の電子化から始めてみてはいかがでしょうか。

紙を一枚なくすという小さな一歩が、患者様との関係性を大きく変えるきっかけになるはずです。

電子カルテ「Kartte(カルッテ)」
📌 詳しくはこちら
👉 https://kartte.jp/

矢野 敦子の写真
著者:矢野 敦子

株式会社クロスリンク代表取締役 兼 マッサージコンシェルジュ®️

新卒で凸版印刷株式会社に入社し営業職に従事。途中、株式会社博報堂へ出向し大手自動車会社のプロモーション戦略の企画立案から実施までを行う。

その後、株式会社エムアウトに参画。新規事業の立ち上げを経験したのち、2010年に株式会社クロスリンクを設立。2012年に株式会社エムアウトからMBOを実施し、現在に至る。

2022年度東京女性経営者アワード「持続経営部門」受賞

【公式】X(旧:Twitter)

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