LTVとは?必ず押さえたい「お客さんの生涯価値」
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整骨院やサロンの現場では、最近「LTVが大事」「LTVが高い院が強い」といった言葉をよく耳にします。
しかし、実際には「聞いたことはあるけれど、意味はなんとなく…」という方も多く、現場では十分に理解されていない概念でもあります。
LTVは経営の専門家が使う難しい言葉のように見えますが、実は整骨院・サロンの経営にとても身近で、現場の成果にも直結する重要な数字です。
この記事では、できるだけわかりやすく、現場でもすぐに使える形でLTVを解説します。
LTVとは?〜お客さんが生涯で生む“価値”を数字で捉える〜
LTVとは「Life Time Value」の略で、1人のお客さんが、通い始めてから離れるまでのあいだに院やサロンにもたらしてくれる利益の総額を意味します。
整骨院やサロンのお客さんが生み出す価値は、たった1回の施術料金だけで決まりません。むしろ継続によって大きく変わっていきます。
例えば、こんな流れです。
◎ 1. 初回の施術
はじめて来店したお客さんが、悩みを相談し、施術を受ける。ここが最初の「入り口」となる価値です。
◎ 2. 2回目・3回目の通院
「前より楽になった」「ここなら続けられそう」そう感じてもらえると、再来につながります。この段階でLTVは一気に伸び始めます。
◎ 3. 数ヶ月〜半年のメンテナンス通院
症状の改善だけでなく、姿勢改善や予防のためのケアとして、定期的に通う方も多くなります。継続期間が長くなるほど、院が得られる価値も積み重なっていきます。
◎ 4. 施術メニューの追加・商品購入
- 追加のほぐし
- EMS・矯正メニュー
- 美容メニュー
- オイル・サプリなどの商品
お客さんの理解・信頼が深まると、こうした追加価値が自然に生まれます。
◎ 5. 家族紹介・友人紹介
満足度が高ければ、紹介が生まれます。
これは数字に表れにくいですが、院にとって最も大きい価値です。
▶︎ このように、お客さんが院にもたらす価値は
1回ではなく、積み重ねの総額で決まります。
だからこそ、“どれくらいの期間”“どれくらいの頻度”で通ってもらえるかがLTV の本質です。
よくある勘違い 〜売上や単価だけでは測れない〜
❌ 「売上の合計が高ければLTVも高い」は間違い
売上は多くても、材料費・時間・スタッフコストなどを差し引いた“利益”が少なければ、実際のLTVは低くなってしまいます。
例えば、1回の売上が大きくても、コストが高すぎる施術なら実質の利益は少なくなります。
❌ 「単価が高い=LTVが高い」ではない
単価が高くても1回で終わるお客さんと、単価はそこそこでも半年〜1年通ってくれるお客さん。
実は後者の方が結果的にLTVが高くなることはよくあります。
整骨院・サロンの経営では、
「長く通ってくれるお客さんをどれだけ増やせるか」
が非常に重要です。
整骨院・サロンがLTVを重視すべき理由
● 院の“体力”がそのまま数字に現れる
LTVが高い院は、少ない新規でも安定した売上を維持できます。
新規頼りにならず、割引や広告費の負担も小さくなるため、経営の土台が非常に強いのが特徴です。
逆にLTVが低い院は、「常に新規を追いかける」状態となり、
- 新規数が減った途端に売上が急落
- 無理な割引に頼る
- スタッフの負担が増える
といった不安定な運営につながりやすくなります。
● お客さんの“質”が上がり、現場の雰囲気も良くなる
継続して通うお客さんが多い院ほど、施術者との信頼関係が深まり、クレームやトラブルも減りやすい傾向があります。
毎回説明し直したり、初回対応に追われたりする時間も減るため、スタッフの満足度も高まり、現場の空気もより良くなります。
● 結果として、紹介が増えやすい
長く通ってくれるということは、それだけ満足度が高い証拠です。
満足度の高いお客さんは家族や友人に紹介しやすく、紹介が増えることで新規獲得コストが自然と下がります。
LTVのシンプルで実用的な計算方法
経営の専門家向けの複雑な式もありますが、現場で使うなら以下の式だけで十分です。
LTV = 1回あたりの利益 × 来店回数 × 継続期間
具体例
- 1回の利益:3,000円
- 来店回数:月2回
- 継続期間:6ヶ月
3,000 × 2 × 6 = 36,000円
この36,000円こそ、
「そのお客さんがもたらしてくれた生涯利益」です。
年間で100人の患者さんがこのLTVで通ってくれたら、
36,000円 × 100人 = 360万円の利益貢献になります。
LTVを高める5つのポイント 〜横文字なしで解説〜
LTVは「特別なマーケティング」をしなくても、現場の工夫で十分に上げられます。
1. 1回あたりの満足度を上げる
丁寧な説明、わかりやすい改善プラン、施術後のフォローなど、
「ここに来ると安心する」「信頼できる」と感じてもらえることが大切です。
2. 来店間隔を空けないようにする
痛みが和らぐと、お客さんはどうしても来店間隔が広がりがちです。
次回予約を提案する、家でのケア方法を伝えるなど、継続しやすい理由をつくることが有効です。
3. 最初の1〜3回を特に丁寧に対応する
特に初期はお客さんの「信頼をつくるゴールデンタイム」。
問診・説明・施術・フォローのすべてを丁寧に行うことで、その後の継続率が大きく変わります。
4. 通う理由をしっかり伝える
痛みが取れた後も、体を整えることで再発を防ぎ、快適な日常生活を送れる。
施術の“意味”を伝えることで、自然と通う価値を感じてもらえます。
5. 通いやすい環境づくり(予約の取りやすさなど)
予約導線がスムーズかどうかは、継続率に大きく影響します。
予約が取りづらかったり、連絡がしにくい院は、どうしても離脱されやすくなります。
予約システム・LINE連携・次回予約などを整えておくことが大切です。
さいごに 〜LTVは“信頼関係”の積み重ね〜
- LTVとは、1人のお客さんが生涯で生む利益のこと
- 売上ではなく「利益」で考えることが重要
- 単価より「来店回数 × 継続期間」が本質
- LTVが高い院は、新規頼みにならず安定した経営ができる
- 現場の小さな積み重ねが、そのままLTVを押し上げる
LTVという言葉は一見むずかしく感じますが、
中身はとてもシンプルで、現場の施術やコミュニケーションの質に直結しています。
目の前のお客さんを大切にし、長く通っていただける環境をつくること。
これこそが、整骨院・サロンの経営を安定させ、スタッフにも患者様にも喜ばれる強い院づくりにつながります。
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