“クレーム対応”から“スタッフ保護”へ。 整骨院・鍼灸院が今すぐ取り組むべきカスハラ対策
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患者様対応の中で、理不尽な要求や暴言を受けるケースが増えています。
「お客様は神様」という時代は終わり、いま必要なのは“スタッフを守る経営”です。
厚生労働省もカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)への対策を事業者の責務として明示しており、 整骨院・鍼灸院においても、スタッフの安全とメンタルを守る仕組みづくりが求められています。
今回は、現場で実際に起きている事例を交えながら、経営者が今すぐ取り組むべきポイントを整理します。
増える“カスハラ”の現実。整骨院・鍼灸院でも起きている
「患者さんに怒鳴られた」「口コミに悪口を書かれた」「無理な要求を断れなかった」。
このような声は、整骨院や鍼灸院でも珍しくありません。
近年、SNSやLINEなどのコミュニケーション手段が増えたことで、施術時間外のメッセージやDMによるクレームも増加傾向にあります。
たとえば、
- 「返信が遅い」と深夜に何度もメッセージが送られてくる
- キャンセル規定をめぐって怒号が飛ぶ
- 「担当を変えろ」と強い口調で迫られる
といった行為が、スタッフの心理的負担を大きくしています。
現場では「我慢してしまう」ケースも多く、結果的に退職やメンタル不調につながることも少なくありません。
ある施術者はこう語ります。
「患者さんに怒られるのが怖くて、誰にも言えなかった」
スタッフが安心して働ける環境を整えることは、経営の持続性を守るうえでも欠かせない要素です。
厚労省が定める「カスハラ防止指針」。院経営にも求められる責務
厚生労働省が2022年に策定した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では、事業者に対し職場環境配慮義務(労働安全衛生法に基づく)があると明記されています。
つまり、従業員が暴言や威圧的な行為を受けた場合、事業者が適切に対処しなければ“安全配慮義務違反”に問われる可能性もあるのです。
カスハラは、単なる「クレーム対応」ではなく、経営リスクのひとつとして捉える必要があります。
実際、対応を誤ることで、SNS炎上や離職増加、最悪の場合は法的トラブルに発展することも。
医療・福祉分野ではすでに、カスハラ対応マニュアルや通報窓口を整備する動きが進んでおり、整骨院・鍼灸院業界でも「組織としての備え」が急務となっています。
対応の基本は、感情的なやり取りではなく、仕組みで守る体制をつくることです。
スタッフを守るための3ステップ実務対策
では、実際に整骨院・鍼灸院で取り組むべきカスハラ対策とはどのようなものでしょうか。
経営者やマネージャーがすぐに着手できるポイントを、3つにまとめました。
① カスハラの定義を明確にする
どこまでが正当な要望で、どこからがハラスメントに当たるのか。
院として明確な基準を示すことで、スタッフが「これは報告していい」と判断しやすくなります。
たとえば、
- 暴言・威圧的態度
- 過度な要求(時間外連絡や不当な返金要求など)
- SNSなどでの誹謗中傷
これらを明文化し、共有することが第一歩です。
② 対応フローを決めておく
問題が発生した際は、「誰に・どのように報告するか」をルール化しておくこと。
一人で抱え込むのではなく、上長・マネージャー層に速やかにエスカレーションできる仕組みを整えましょう。
記録(日時・内容・対応履歴)を残すことも重要です。
事実を記録することで、後から冷静に検証でき、スタッフを守る根拠にもなります。
③ ケースを蓄積し、共有する
個別の事例を院内ミーティングなどで共有し、対応をアップデートしていくことが再発防止につながります。
「誰が悪いか」ではなく、「どうすれば守れるか」を話し合う文化を育てることで、スタッフの心理的安全性が高まり、チームとしての一体感も生まれます。
“守る仕組み”が職場定着と患者様満足につながる
カスハラ対策は、スタッフを守るだけではありません。
安心して働ける環境が整えば、スタッフはより丁寧な接客・施術に集中でき、結果として患者様満足度の向上やリピート率アップにもつながります。
離職が減り、職場に安定感が生まれることで、患者様からも「信頼できる院」として選ばれやすくなる。
まさに、“守る仕組み”が売上を支える基盤になるのです。
現場と経営、両方を守る“仕組み化”のすすめ
日々の運営の中で、トラブルを完全にゼロにすることは難しいもの。
しかし、事前に予防の仕組みをつくることは可能です。
たとえば、予約時にキャンセルポリシーを明示するなど、システム上でトラブルを未然に防ぐ設定を行うだけでも、現場の負担は大きく減ります。
また、ワンモアハンドの運営事業者である株式会社クロスリンクでは、自社内でもカスタマーハラスメントに関する対応方針を明確に策定し、役員・マネージャー層を中心にスタッフを守るためのマニュアル整備を進めています。
現場を支える人が安心して力を発揮できる環境をつくることが、結果的に患者様との健全な関係づくりにもつながると考えています。
さいごに
カスハラ対応は、クレームを避けるための防御策ではなく、 「スタッフを守る仕組み」=「院を守る仕組み」です。
制度を整え、現場が安心して声を上げられる環境をつくることこそ、これからの整骨院・鍼灸院経営に求められるリーダーの役割。
小さな一歩でも、「スタッフを守る」姿勢を示すことから始めてみましょう。
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