1人で鍼灸院・整骨院を開業するメリットとデメリット

1人で開業するメリット

1. 経営の自由度が高い

1人で開業する最大のメリットは、経営において自由度が非常に高いことです。営業時間や施術内容、価格設定、キャンペーンの企画など、すべて自分で決定できます。自分の意向で経営方針を決められるため、ストレスが少なく、自分のペースで仕事を進められるでしょう。

また、どのような集客をするか、どのようなコンセプトで患者様に提供するかも自由に決められるため、理想の院作りがしやすいのも1人開業の魅力です。

2. 人件費がかからない

スタッフを雇わないため、人件費がかからない点も大きなメリットです。人件費は固定費として発生するため、利益が出るかどうかに関わらず、毎月支払いが発生します。1人で運営すればこの固定費を抑えられ、安定した収益を見込むことが可能です。

また、利益が少なくても経営が回りやすいため、事業を軌道に乗せやすいでしょう。経営が安定するまではなるべくコストを抑えたいと考える方にとって、人件費削減は大きな魅力です。

3. スタッフの教育や管理の手間が省ける

スタッフを雇うと、人材育成やスタッフの管理が必要となります。これには時間と労力がかかり、特に開業初期にはオペレーションを構築するための指導や研修に多くのリソースを割く必要があります。

1人であれば、そのような手間が一切かからず、自分のペースで業務に集中できる点が魅力です。人を育てることが苦手な方や、管理に時間をかけたくない方にとっては、1人開業の方が適しているかもしれません。

4. 経営方針に一貫性が持てる

スタッフを抱えると、それぞれの意見や価値観が反映され、時には経営方針がブレてしまうこともあります。しかし、1人であればすべての判断は自分次第です。

これにより、経営方針に一貫性を持たせることができ、自分のビジョンに忠実なサービス提供が可能です。施術や接客のスタイルも統一されやすく、ブランディングもしやすいと言えるでしょう。

1人で開業するデメリット

1. 病気やケガによるリスク

1人で経営するデメリットとして、もっとも大きいのが「自分の体調不良が直接経営に影響する」というリスクです。風邪をひいたり、ケガをしたりした場合、施術を行えず収入が途絶える恐れがあります。

万が一、長期的に休業しなければならなくなった場合、経営そのものが危ぶまれる可能性もあるため、この点は1人で開業する上での大きなリスクです。こうした不安要素があるため、1人開業を選択する場合には、体調管理を万全にすることが求められます。

2. 収益の上限が決まる

1人で経営する場合、どうしても収益の上限が決まってしまいます。患者様を対応できる人数や施術時間には限りがあるため、売り上げを大きく伸ばすことは難しくなります。

院展開や事業規模の拡大を考えると、1人で対応するには限界があり、収入を増やしたいと考える際には壁にぶつかることもあるでしょう。将来的に大きな収益を上げたいと考えている方にとっては、この点がデメリットとなる可能性があります。

3. すべての業務を1人でこなさなければならない

1人での経営では、施術だけでなく、集客、受付業務、経理作業などもすべて自分でこなさなければなりません。日々の業務量が多くなるため、施術に集中しづらく、時には時間的・体力的な負担が大きくなることもあります。

特に、集客やマーケティングが苦手な方にとっては、この点が大きなハードルとなるかもしれません。すべての業務において自己管理が求められるため、1人での開業には多岐にわたるスキルが必要です。

4. 長期的な成長や院展開が難しい

将来的に事業を拡大し、多院展開を考えている方にとって、1人開業の形態では成長に限界があると感じるでしょう。人手不足の状態では、新たなサービスの導入や集客施策の拡大も難しくなります。

また、1人で事業を展開していくと、次第に忙しさが増し、サービスの質を維持することが難しくなることもあります。経営を継続的に成長させていきたいと考えている方にとっては、デメリットとして考慮すべきポイントです。

1人で開業するための対策

1人で開業する際には、こうしたデメリットを最小限に抑える工夫が必要です。以下のような対策を講じることで、1人開業のリスクを軽減できます。

• 予約システムの導入
  受付業務の負担を軽減するため、オンライン予約システムの導入を検討しましょう。受付やスケジュール管理の効率が向上し、患者様への対応がスムーズになります。

• 集客の効率化
  SNSやホームページ、ブログなどを活用し、低コストで効果的な集客を行う方法を確立することが重要です。集客の手間を減らすことで、施術に専念する時間が確保できます。

• 保険の活用
  自分の健康リスクに備えて、休業補償保険や医療保険に加入することも検討しましょう。自分が働けなくなった場合でも、収入をある程度確保できる仕組みを用意することで、安心して経営が続けられます。

さいごに

1人で鍼灸院・整骨院を開業するには、コストを抑えながら自由な経営ができるというメリットがある一方、体調不良のリスクや収益の限界、業務量の負担などのデメリットも伴います。

1人開業を成功させるためには、リスクを理解したうえで、効率化やリスクヘッジの手段を講じることが大切です。自分の目指すビジョンに合わせた経営スタイルを選択し、目標に向けて計画的に事業を進めていきましょう。