院の「メモ文化」が経営を圧迫する――メモ脱却の第一歩とは?
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院の現場に入ると、パソコンの縁にびっしり貼られた付箋、カルテの間に挟まれたメモ、受付の卓上に置かれたメモ用紙……。
どの院にも必ずと言っていいほど「メモがあちこちに存在している」光景を目にします。
忙しい施術者にとって、付箋やメモは“とりあえず残す”ための最速ツール。
しかし、便利な一方で——
そのメモ文化が、院の経営を静かに圧迫している。
こう感じている院長は、実はほとんどいません。
そして最近増えているのが、
「カルテをメモ帳のように使ってしまう」ケース。
本来は“診療記録”であるカルテが、
- 一言メモのように使われる
- 評価や施術内容が箇条書きで曖昧になる
- 書けなかった日の補足が付箋で貼られる
- 写真や情報が院内のあちこちに散らばる
こうした運用は、院の施術の再現性を下げ、スタッフ教育に負担をかけ、患者満足度にも影響を与えていきます。
本稿では、なぜメモ文化が院の成長を妨げるのか、そしてメモ脱却のためにまず取り組むべき“たった1つの第一歩”をお伝えします。
■メモ文化が生む3つの経営リスク
① 情報の消失・取り違えが起きやすい
付箋や走り書きされたメモは、記録のための“仮置き”にすぎません。
そして仮置きである以上、
- 紛失
- 読めない字
- 誰が書いたかわからない
- 何の話だったか不明
という不確実性を常に抱えています。
カルテであっても、内容が“メモ的”ならば状況は同じです。
「前回の評価、これだけ?」
「この“首×”って結局どういう意味?」
そんなやり取りが積み重なれば、判断精度が落ちていくのは自然なことです。
② スタッフ間で情報共有ができない
メモは“その人の頭の中”とセットで理解される情報です。
つまり、自分以外の人が見ても意味がわからないことが多い。
さらに、カルテをメモとして使っている場合も、
- 施術者ごとに書き方が違う
- 構造が統一されていない
- 専門用語の使い方が揃わない
これらが重なると、スタッフ間で情報を正しく共有できず、説明や提案のズレにつながります。
説明が揃わない院は、どうしても患者様に不信感を持たれやすいもの。
再現性のないカルテは、院のブランドをゆっくりと蝕みます。
③ 施術の再現性が低下し教育コストが増加する
施術の質は、「その施術が再現できるかどうか」で決まります。
しかし“メモ的カルテ”には、再現性を高めるための情報が不足しがち。
たとえば、
- Before(評価)が曖昧
- After(変化)が書かれない
- 次回提案の根拠が残っていない
これでは、次回来院時に施術者が前回の判断を正確に再現することはできません。
さらに新人育成においては、
「どう書けば正しいのか」が学べないため、成長スピードも遅くなる。
結果として院長やベテラン施術者の負担が増し、組織がプッシュ型で疲弊していきます。
■なぜメモは増えるのか? 現場の心理
メモ文化は、悪気ではなく“現場の制約“から生まれたものです。
● 時間がないから「最低限」だけ書く
院内では患者様が連続で来院するため、
「後でちゃんと書くつもり」
「とりあえず急ぎで残す」
という行動が積み重なります。
しかしこの“後で書くつもり”は、忙しさが続く限り実行されません。
● 書き方のルールが統一されていない
どこまで書くべきか、評価はどう記録すべきか、共通項目が決まっていなければ、
カルテは“自由記述のメモ帳”になります。
● ツールが使いにくい
入力に時間がかかる、写真が紐づかない、検索しづらい——。
使いにくさは「メモで済ませよう」という心理を強化します。
■メモ脱却の第一歩は「書く場所をひとつに決める」
複雑な仕組みをいきなり導入する必要はありません。
最初の一歩は、驚くほどシンプルです。
→ 必要な情報を“ひとつの器”に集約すること。
付箋、LINE、紙、口頭伝達——あらゆる情報が散らばると、院の生産性はどんどん落ちます。
「カルテが正(せい)」
「正式な記録は必ずここに統一する」
というルールをまず作ること。
そしてそのカルテ内でも、
- 評価
- 施術内容
- 結果(After)
- 次回提案
といった“情報の構造化”が必要です。
メモ的カルテではなく、
構造化カルテに変えることが最初の転換点になります。
■デジタルは“メモしなくても情報が残る”仕組みをつくる
デジタル化の目的は、メモを減らすことではありません。
「メモをしなくても記録が整う環境をつくる」ことです。
● テンプレートで迷わず書ける
評価→施術→結果の流れがテンプレ化されていれば、
施術者は迷わず同じ型で記録できます。
● 写真が一元管理される
症状の変化を言葉でメモするより、写真の方が圧倒的に正確。
個人のスマホに保存されると紛失・混在のリスクが高いので、院全体で管理できる仕組みが必要。
● “共有カルテ”で説明が揃う
カルテが院内で即時共有されると、
- 新人教育がスムーズ
- 施術方針のズレが減る
- 説明の統一感が生まれる
例えばカルッテでは、問診・評価・施術・写真が同じ導線で一元管理されるため、
“メモ代わり”ではなく、再現性のある正式な記録として運用しやすい構造になっています。
ツールは目的ではなく、あくまで“メモに頼らない院づくり”のための手段として紹介するのがポイントです。
■メモ文化をなくすと院はこう変わる
● 情報共有が速く・正確になる
院内コミュニケーションがスムーズに。
● 説明と施術の質が揃う
“誰が担当しても同じ安心感”を提供できるようになります。
● スタッフ教育が簡単になる
過去のカルテが“教材”になるため、新人の立ち上がりが早い。
● 院長が現場に縛られなくなる
属人化が減り、院長が本来すべき経営に時間を使えるようになる。
■さいごに:最初は“小さなルールづくり”から
メモ文化は、現場を支える工夫として自然発生したもの。
しかし、院が成長するフェーズに入ったとき、 このメモ文化が“最大のブレーキ”になっていることが多いのです。
だからこそ、始めるべきは大きな改革ではなく、
「カルテをメモとして使わない」という小さなルール。
その一歩だけで、
院の再現性・生産性・教育・説明の質は大きく変わります。
院が持つ本来の価値を、
患者様に安定して届けられる仕組みづくりの第一歩です。
■ ご案内
電子カルテ「Kartte(カルッテ)」
施術履歴や問診をデジタルで正確に管理でき、紙カルテで起きやすい情報のバラつきを防ぎます。
来院前の問診票送信により、初診の流れがスムーズになり、状態説明や次回提案の根拠もスタッフ間で共有しやすくなります。
📌 詳しくはこちら
👉https://kartte.jp/
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矢野 敦子
