1店舗から2店舗目へ―多店舗展開のタイミングとポイント

予約がいっぱい―成長の兆し

まず、多店舗展開を考え始めるきっかけとして多いのは、「お客様の予約がいっぱいでお断りするケースが増えた」という状況です。既存店舗が繁盛し、対応できるお客様の限界に近づいている場合、2店舗目の出店を考えるのは自然な流れです。

しかし、こうした状況が見られたからといってすぐに新店舗の出店を決断するのはリスクが高いです。以下のポイントをしっかり検討しましょう。

現在の店舗のリソースを最大化できるか？

1店舗目の限界を正確に見極めることが、多店舗展開のリスクを最小化する第一歩です。具体的には、現在の店舗のリソースを以下のように最大化できないか検討してください。

1. ベッド数の見直し

ベッド数が限られている場合、店舗のレイアウトを再確認してみましょう。
無駄なスペースや使われていないエリアを見直すことで、ベッドを1台追加できる可能性があります。片づけや配置の工夫で、スペースの有効活用を進めましょう。

2. 営業時間の延長

営業時間を延ばすことも、顧客対応数を増やすための有効な手段です。
特に夜間や早朝の需要が見込めるエリアでは、スタッフのシフトを調整して対応時間を延ばすだけで、お客様の満足度を向上させつつ収益を上げられます。

3. スタッフの効率化

スタッフの働き方を見直し、効率を上げることで現在のリソースをより活用できる場合もあります。
ITツールを活用して予約管理や顧客対応を効率化すれば、1店舗でもさらなる成長が可能です。

2店舗目出店に必要な準備

2店舗目を出店する際には、新店舗の運営を成功させるための準備が欠かせません。以下のポイントを押さえておきましょう。

1. スタッフの確保

新店舗を運営するには、十分な人材が必要です。採用活動を早めに開始し、既存スタッフとの連携を考慮したうえで人員配置を計画しましょう。
特に鍼灸師や柔道整復師のような専門職は人材不足が深刻化しているため、事前の準備が重要です。

2. 出店場所の選定

出店場所を選ぶ際は、1店舗目のお客様の動向を活用すると良いでしょう。
ある整骨院グループのオーナーは、顧客の住所を郵便番号でマッピングし、そのお客様が通える範囲内で出店エリアを絞り込んでいます。
1店舗目のお客様が利用しやすい場所を選ぶことで、既存顧客を新店舗に誘導できるだけでなく、1店舗目も引き続き利用してもらう良い循環を作ることが可能です。

3. 顧客情報の活用

出店エリアの選定やマーケティングには顧客情報が欠かせません。
オンライン予約システムを導入していれば、顧客情報が自動的に蓄積され、住所や来店頻度、利用状況などをもとに戦略を立てることができます。手作業での顧客情報管理を減らし、効率化を進めましょう。

近隣出店のメリット

2店舗目は、1店舗目から近隣エリアに出店するほうが運営上のメリットが大きいです。

1. 緊急時のヘルプ体制

スタッフが急遽休んだ場合や、1店舗目が混雑している場合に、近隣の2店舗目から応援スタッフを派遣したり、お客様を案内したりすることができます。

2. 運営ノウハウの共有

距離が近ければ、1店舗目の運営ノウハウを新店舗にも迅速に展開できます。
例えば、店長同士が頻繁に顔を合わせて情報交換を行うことが容易になります。

資金計画の重要性

多店舗展開を成功させるためには、資金面での余裕が不可欠です。
新店舗が完全に稼働するまでには、少なくとも3ヶ月はかかると見込んでおく必要があります。この間、既存店舗が不調になった場合にも経営を維持できるだけの資金を確保しておきましょう。

また、オンライン予約システムの導入や会員化の促進により、顧客との接点を強化することが重要です。これによりリピート率を向上させ、経営の安定化を図ることができます。

1店舗目での成功が鍵

多店舗展開は経営者の夢であり、大きな成長のチャンスでもあります。
しかし、その成功の鍵は1店舗目での経営基盤の構築にあります。ITを活用したDX化を進め、人材頼みの運営から脱却することで、効率的で安定した経営を実現できます。

さいごに

2店舗目の出店は経営者にとって大きな挑戦であり、成功すればさらなる成長につながります。
しかし、そのためには慎重な計画と準備が必要です。まずは1店舗目での基盤をしっかりと固め、リソースの最大活用やITの導入を通じて効率的な経営を目指しましょう。

また、資金計画を万全にし、リスクを最小限に抑えることも大切です。
適切なタイミングで行動し、経営の夢を着実に実現していってください。本記事が、2店舗目出店の検討においてお役に立てれば幸いです。