「整骨院・接骨院回数券」活用で売上の安定化を

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「整骨院・接骨院回数券」活用で売上の安定化を

整骨院・接骨院において回数券は、患者様のリピートを促し、院の収益安定化を図るための有力なツールです。
特に近年のキャッシュレス化の進展に伴い、回数券の導入は多くの整骨院で浸透し、患者様からの支持も広がっています。
しかし、導入を急ぐあまり、思わぬトラブルや患者様の離反を招くこともあるため、回数券のメリット・デメリットを理解し、適切に活用することが重要です。
本コラムでは、整骨院・接骨院経営における回数券の活用方法について詳しく解説いたします。

目次

回数券とは?

回数券は一定の施術を複数回分まとめて購入できるサービスです。
整骨院、整体院、接骨院などで提供され、施術ごとの料金よりも割引価格が設定されることが一般的です。
このため、患者様にとってはコストを抑えつつ施術を継続的に受けられるというメリットがあり、院にとってはリピーターの確保や安定的な収益源となります。

回数券導入4つのメリット

1. 継続率・リピート率が高まる

回数券を購入された患者様は、複数回分の施術が確約されているため、自然と来院頻度が高くなります。
これによりリピート率が向上し、収益の安定化が見込めます。
整骨院・接骨院では症状の改善に向けて定期的な通院が効果的な場合が多いため、回数券は患者様に施術の重要性を理解していただくきっかけとなり治療効果も向上します。

2. 離反率の低下

回数券を購入した患者様は既に料金を支払っているため、通院を継続する可能性が高くなります。
特に慢性的な痛みを抱える患者様にとって、回数券の存在は症状改善へのモチベーションとなります。
整骨院・接骨院経営において毎月の患者数を増やすことは重要ですが、既存の患者様の離反を防ぐことも同じくらい重要です。
回数券はその点で非常に有効な手段と言えるでしょう。

3. キャッシュフローの向上

回数券は基本的に一括での支払いが一般的なため、キャッシュフローの向上にも貢献します。
一括支払いにより院側は資金繰りを安定させることができ経営上のリスクを軽減できます。
安定した収入基盤が確保されれば新たなサービス導入やスタッフ増員といった、次の施策に取り組む余裕が生まれ院の成長に繋がるでしょう。

4. 患者様の満足度向上

施術を継続的に受けることで、患者様は徐々に施術の効果を実感しやすくなります。
回数券は、院側が患者様の通院頻度を適切に管理するためにも役立ち、患者様にとっても計画的に施術を受けることができる安心感が提供されます。
費用面でも割安感があるため、施術の効果を実感しやすくなり結果的に患者様の満足度向上につながります。

回数券導入で気をつけるべきポイント

1. 施術単価の低下を防ぐ

回数券の価格設定は、院の利益を確保しつつ、患者様にとってお得感を感じていただけるバランスが必要です。
例えば、施術単価が60分6,000円の場合、分単価は100円(6,000円÷60分)です。
通常の施術料金よりも5%〜10%程度の割引を設定することが一般的ですが、安易に割引を大きくすると利益が圧迫される恐れがあります。
施術の分単価を意識し、回数券ごとの適切な価格設定を行うことが重要です。

2. モチベーション低下の防止

回数券は先払いシステムのため、施術が進むにつれて院側のモチベーションが下がるリスクもあります。
しかし、患者様にとって施術を通して健康が改善されることは、感謝と信頼の証です。
施術のたびに感謝の気持ちをもって取り組むことで、院と患者様の良好な関係が築かれ、モチベーションの低下を防ぐことができます。

3. 有効期限を決める

有効期限は、患者様に定期的な通院を促す効果がありますが、あまりに短い期限はプレッシャーになることもあります。
例えば、忙しい患者様にとっては有効期限がストレスとなり、来院を避ける理由になりかねません。
そのため、患者様の生活スタイルや通院ペースに合わせた柔軟な期限設定を検討することが大切です。
院の方針に応じて、無期限の回数券や延長オプションを設けることで、患者様が安心して通える環境を提供しましょう。

4. 施術回数や内容の適切な設定

回数券の施術回数や内容は、患者様にとって魅力的であり、かつ院にとって負担が少ない設定が望まれます。
施術回数が少なすぎると、患者様にとってのメリットが薄れ、逆に多すぎると院側の負担が増えます。
適切な回数や内容を見極めることで、施術の質を保ちながら患者様の信頼を得ることができるでしょう。

回数券導入のステップ

  1. 施術コンセプトの明確化
    まず、自院の施術コンセプトを明確にしましょう。 例えば、「肩こり改善専門」や「スポーツによるケガの早期回復」など、具体的なウリがあると、患者様にも分かりやすくなります。
  2. サービス設計
    コンセプトに基づき、提供する施術内容や分単価を設定します。たとえば、回数券の組み合わせとして、基本施術+追加ケアを盛り込むと、患者様の興味を引きやすくなります。
  3. 来院回数、期間の設定
    回数券を使用する目安の来院回数や期間を設定し、患者様にとって無理のないプランにします。
  4. ニーズに合わせたプラン設計
    異なる価格帯で複数のプランを提供することで、患者様が自分に合った回数券を選びやすくします。
  5. 収益性のシミュレーション
    分単価や割引率を再確認し、収益性に問題がないかチェックします。
  6. 新規患者様への提案
    既存患者様への提案よりも、新規患者様に対しての提案が効果的です。回数券の導入により新たな患者層を開拓できます。
  7. 数値計測とPDCAサイクルの実施
    導入後は売上や来院率の変化を定期的にチェックし、改善点があれば随時対応します。
  8. 既存患者様への案内
    回数券の効果や利点が見えてきた段階で、既存の患者様にも提案を開始し、さらにリピート率を向上させます。

さいごに

整骨院における回数券の導入は、リピーター確保や収益安定化のために非常に有効です。
しかし、適切な価格設定や分単価のシミュレーション、モチベーション管理といったポイントを押さえることが必要です。
また、回数券を新規患者様に向けて提案し、既存患者様には後から知らせるというアプローチも効果的です。

患者様ファーストの視点を大切にしながら、整骨院に適した回数券の導入を進め、院と患者様の双方にとってメリットを感じられる施策としましょう。

山本 圭吾の写真
著者:山本 圭吾

株式会社クロスリンク 取締役。

新卒で株式会社USENに入社し営業職に従事。その後、株式会社リクルートに入社しHotPepperの営業に従事。通期表彰などを受賞。

2010年、株式会社クロスリンクに入社。営業、企画、人事と多岐に渡る業務を経験。2016年、同社の取締役に就任。現在に至る。

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